この一週間ほど、Textwellの基本的な使い方について考えてきました。ここで整理してみようと思います。Textwellってそもそも何?
Textwellの特徴
Textwellはエディタです。iPhoneやiPadで文章を書くためのアプリ。普通のエディタだと、書いた文章をリストとして残しておけるのですが、Textwellにはその部分が省略されています。他とは違う、ちょっと妙なところ。
代わりに「ヒストリー」が装備されています。今まで書いてきた文章が、意識しなくても保持される。左上にある時計ボタンをタップすると、そのヒストリーが表示されます。選択すれば、いつでも昔の文章を復元することができます。
これはたぶん、TextwellがWebブラウザをメタファーにしているんじゃないか、と思います。SafariやFirefoxにある「履歴」ですね。今までアクセスしたページを記憶している。同じ要領でTextwellは「文章」を覚えています。
テキスト・ブラウザ
ブラウザであれば「ブックマーク」もあるはずなのですが、Textwellにはありません。ver.1.0のころには「スナップ」というブックマーク機能があったのですが、ver.2.0になって消えました。スナップはヒストリーに統合され一本化しています。
ヒストリーに記録を残す方法は2つあります。一つは、ヒストリーから別の文章を復元すること。新しい文章を読み込む。そのとき古いほうのテキストがヒストリーに保存されます。これは残ってくれないと困る。
もう一つが「クリア」です。左端から右端までスワイプするとテクストが消えて白紙になります(個人的には「ご破産スワイプ」と呼んでいます)。このときもヒストリーに保存されます。仕切り直しがセーブポイントなのです。
インターネットが「外部」だとすると、テキストは「自分の内なる環境」です。変化し続ける「こころ」という迷宮を映す。それをエディタという「窓」を通して覗き見るわけですが、一部分しか見えません。でも、掘り下げるにつれ、視野が広がる。そのプロセスが表現される場が「テキスト・エディタ」なのです。
なにを・どうする?
エディタはもともとプログラムを書くツールでしたが、パソコンがワープロとして使われようになり、起動の速いエディタがワープロの下書きソフトに転用されました。
なので当初は「印刷すること」が目的でした。それがインターネット時代に入り、テキストをそのままに送受信するように変化してきた。ところがエディタは未だ「紙」に囚われたままになっています。「装飾」に主眼を置いている。
TextwellはiPhoneに合わせて生まれたエディタです。「印刷する」は目的ではありません。「どうする」を保留にする。ユーザに委ねるところにその個性があります。
これまで、その「どうする」について取り上げてきました。ブラウザに喩えれば「ブックマークレット」にあたる部分。「アクション」と呼ばれています。
- Textwellでカレンダーをデイリーノートにする
- Textwellで思いついたらリマインダーに書き込む
- Textwellで下書きしてからメールで送信する
- Textwellの内蔵ファイラーを使いこなそう
- Textwellはエディタなのにブラウザでもある
- Textwellはカード型アウトライナーにもなれる
- Textwellのライブラリをチェックしてみよう
- Textwellでよく使う自作アクション・ベスト5
- Textwellのアクションを5分で作ってみよう
- Ulysses×Textwellがしっくりと馴染んできた
まとめ
エディタを選ぶことは「書く作法」を選ぶことです。Textwellは単体では何も完結しない。他のアプリとの連携が不可欠で、システムが閉じていない。ダダ漏れになる。
シルヴァスタインの絵本を思い出させます。欠けているから、他者と巡りあえる。閉じていないから、様々な可能性に開かれていく。ラッタッタ、ラッタッタ。
そうした「開かれた文章」を書いてみたい。