Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

iPadにおけるエディタの変遷

iPadの登場から14年。 個人的な偏りですけど振り返ってみます。 果たしてiPadは「文房具」となれたのだろうか。

黎明期

初代のiPadから使っています。 でも、あの頃はMacBookが主軸ですね。 Duoの頃からずっとMacだったし。 ノート・パソコンの方が便利じゃないですか。

iPadはPlainTextというアプリを中心にしていました。 Dropboxを直接読み書きできるエディタです。 パソコンとのデータ共有がしやすい。

まだ「iPadならでは」の使い方が見つからなかった時代です。 パソコンの出張所みたいな扱いをしている。

DraftPad

DraftPadで大きくエディタ観が変わりました。 とはいえ、初めはどうするものかわからず戸惑っていたようです。 「入れているけど使ってない」みたいなことが書いてある。

テキストをまず書き、何をするかは後から考える。 それがDraftPadです。 「保存」という概念がなくて、すべてが「ヒストリー」。 それまでの「エディタ」とは異なるスタンスでした。 モードレスのコンセプトも衝撃でしたね。

結局書いたものを管理するには「保管庫」が要る。 これが大きかった。 SimplenoteやEvernoteを試しました。 クラウドサービスは起動に時間がかかる弱点がある。 その弱点をDraftPadがカバーする。 理想的なエディタ環境が見えてきました。

この頃になるとパソコンを開く機会が大幅に減りました。 iPadだけで日頃の業務を賄える。 そこまで最適化できてきた。

Textwell

そしてDraftPadがTextwellに進化します。 アクションがJavascriptで組める。 欲しい機能をどんどん自作できる。

Evernoteの仕様がコロコロ変わり、Web版にアクセスできなくなったところで使用を辞めました。 保管庫としてはwri.peが良かったですね。 テキストのやり取りがしやすい。 そしてMarkdownもwri.peで発見したようなものです。 「ああ、テキストにはこんな表現力があるのか」と。 しばらくMarkdownにハマり込みます。

その次はWorkflowyでした。 これは革命でした。 アウトライナーであることより「ファイル」がないことに衝撃を受けた。 Tetwellで書いてWorkflowyに保管する。 テキストが指先でモノみたいに移動できる! それは今までなかった体験です。

カード型のデザインにも凝りました。 Textwellのコンセプトが「一枚の紙」なので、それをカードに見立てるとすっきりする。 そして、カードの整理と相性がいいのがアウトライナーだったわけです。 テキストを文脈から切り離す快感。

このカードのアレゴリーScrapboxと出会うことで完成します。 Workflowyにはディレクトリー構造の影があるけれど、Scrapboxにはそれがなかった。 カードがフラットに提示されています。 整理されていない。 「酔っ払っていても扱えるサービス」というコンセプトも好きです。

Obsidian

ここ数年の問題は「インターネットにアクセスできない」です。 事情があって、電話線のない環境で過ごすことになった。 テザリングiPadをネットに繋いでいます。

Textwellの保管庫をローカルに作ることになる。 最初はLogseqを中心にしましたね。 アウトライナーとカードとがうまく融合している。 そこにデイリーノートという考え方も導入されて、日頃の行動ログを取るのに最適な環境ができあがります。

Obsidianはダウンロードしたものの、初めは使ってなかった。 コード・エディタの劣化版のように思ってました。 パソコン時代の古いファイル管理を踏襲している。 そこに新しい栄養素があると思えませんでした。

Obsidianを再評価したのはTemplaterでアクションが組めることに気づいてからです。 これ自体がTextwellと同等になれる。 しかもRoomスクリプトを自作したことで、ほぼScrapboxと同じ環境が作れた。 ローカルにScrapboxを作るのは夢でしたから。

つまり、Obsidianが「Textwell+Scrapbox」になった。 テキスト加工を自作できて、カード形式で管理できる。 自分の中でピッタリくるのがこの環境のようです。

今後もエディタ自体は変遷するだろうけど、環境自体のコンセプトに変化は起きないんじゃないかな。 あるいは生成AI絡みで、大きくパラダイムを変えるエディタが出てくるんだろうか。

まとめ

今回、自分の軌跡を辿ってみたわけですが、こういうのに役立つのが「ブログ」でした。 結局「究極のテキスト保管庫」はブログなのかもしれない。 だって、期限を指定して検索しやすいもん。