Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

mermaid blockでシェマLを描いてみた

四項関係を図式化できるんです。

mermaid block

mermaidに追加されたblock

これでラカンのシェマLを描いてみました。 趣味の世界です。

描き方

下記コードをObsidianに書きます。

```mermaid
block-beta
columns 6

S("④ 話し手\n(主体)"):2
space:2
a("① 他人の話\n(対象)"):2
space:6
m("② 自分の話\n(自我)"):2
space:2
A("③ 聞き手\n(他者)"):2

S --> a
a --> m
m --> A
A --> S
```

箱を並べて矢印をつけて:

箱内の改行はできるけど、箱自体が狭いのはどうしたものやら。

block-beta
columns 6

S("④ 話し手\n(主体)"):2
space:2
a("① 他人の話\n(対象)"):2
space:6
m("② 自分の話\n(自我)"):2
space:2
A("③ 聞き手\n(他者)"):2

S --> a
a --> m
m --> A
A --> S

はてなブログだと自動調整してくれます。 プレビューならいいわけか。

シェマLとは

面接のプロセスが四項目の相互作用で起きることを示す図。 論理的には4つの段階に分けることができます。 その場合は「論理的時間」と呼ばれたりする。

① 話し手はまず「他人の話」をする。上司がわからず屋だとか子どもが学校に行かないとか。「主体から見ての話」なので、その視野には「自分」が入っていない。

② その「他人の話」を鏡にして「自分」に目が向く。腹を立てていたり、悲しく思っていたり。何を感じ、どう考えているか、状況の中で形成された自己像が中心テーマになる。 でもそれをアイデンティティにしてしまうと動きが取れない。

③ ひとりで考えているときは「①←→②」の間を行ったり来たりする。堂々巡りの思考を繰り返すが、聞き手がいるとその思考の「外」に出ることができる。聞き手に同一化し「①←→②」の関係性を観察する視点が得られる。

④ 「この関係性がどうなるといいか」と時間軸を進めた思考が起きてくる。それが「欲望」で、未来完了形の語りをしている。このとき話し手は自己一致(Verite)をし、行動主体として形成される。つまり、動き出すことができる。

こうしたプロセスが流れるためには、聞き手側も「話の中にいながら話の外に出るという体験」をあらかじめ身につけないといけない。 この体験は、分析家自らが分析を受ける教育分析で得られ「クラインの壺」として描かれます。

これは文化人類学の「参与観察」のことだと思う。 二項関係を乗り越えるための複眼的な視点。 同時代のレヴィ=ストロースをモデルにしてるのかな? 「レンマ」になってますね。 「AかBか」が「AでもなくBでもなく」の「あいだ」へと展開する。

なぜLなのか

図Aから順番に考えてL番目の図、って訳でもなさそうで、謎なんだよなあ。 ラカンの解説本を読んでみても、説明している人に遭遇しなくて不思議に思っています。

一応立てている仮説は『盗まれた手紙 Lettre volee』の頭文字L。 エドガー・アラン・ポーの有名な推理小説だけど、 これについてラカンが考察したセミナーがあって、 そこに出てくる人物関係の相関図。 これがシェマLの元ネタじゃないかと考えています。

block-beta
columns 6

S("手紙"):2
space:2
a("国王"):2
space:6
m("王妃"):2
space:2
A("大臣"):2

S --> a
a --> m
m --> A
A --> S

事件は国王が王妃のもとを訪れたときに起きます。 王妃が手紙を隠すために国王の注意を自分に引こうとする。 その様子を見た大臣が手紙の存在に気づき、それを盗んでしまいます。 手紙は王妃の立場を危うくする内容で、大臣が王妃を強請ってくる。

block-beta
columns 6

S("手紙"):2
space:2
a("警察"):2
space:6
m("大臣"):2
space:2
A("探偵"):2

S --> a
a --> m
m --> A
A --> S

分析場面は事件の再現です。 大臣は手紙の存在を隠すため、自分自身に警察の注意を引こうとする。 その様子を警察から聞いた探偵デュパンは手紙が「そこ」にあることに気づきます。 そして大臣宅を訪問し、手紙挿しにあった手紙を取り返してくる。

どちらも四項関係が描写されている。 手紙(Lettre)は存在(L'etre)のダジャレなので、 他人の目に晒され自分の存在を喪失してしまったクライエントのケースとして読み替えることができます。 分析は、その存在がその場にあることに気づき、もとの持ち主に返すこととして描かれる。 自分自身を取り戻すストーリーになっています。

この「手紙=存在(L'etre)」がシェマLのLじゃないかと思いました。

まとめ

書くことに応用すると、堂々巡りになって行き詰まったとき、 誰かに読んでもらうことでしょうね。 別に意見をもらわなくてもいいんですよ。

読んでもらって「伝わった」と感じたら、そのとき自分も「外」に出ている。 「伝わってない」と感じるから無意識は同じ話(症状)を繰り返します。 無意識からのメッセージが意識に「伝わった」となったとき、 次のテーマが浮かび話が展開し始めます。