なるほどなあ。
KPT
倉下さんの「生きることの三要素」。 KPT(Keep, Problem, Try)なんですけど、 Keeping, Progress, Taste と読み替えてますね。 それぞれにライフハックがありノーティングがある。
前にライフハックを「迷路型」と「迷宮型」に分類しましたが 一つ足りなかったと思い至りました。 Keepingを忘れていた。 Keepingは「メンテナンス」と書いてきたことなので、 自分の体系に組み込む必要があったわけです。
アーレントに倣って
メンテナンスとは何か。
それは今脚光を浴びている「ライフ・ワーク・バランス」の「ライフ」です。 ワークは生産性でありProgressを目指すものであるのに対し、 ライフは日々の生活をメンテすることです。
三度の食事をし、お風呂に入り、睡眠をとる。 自分の心と身体をメンテするとはそういうことです。 あるいは部屋の掃除をし、汚れた衣服を洗濯し、切れた電球を付け替える。 それも家事(house keeping)というメンテナンスです。 これが生活(=生命)の土台となっている。
対してワークは「作品を作ること」です。 だから英語で「作品」は work と呼ばれる。 何か成果がある。 新しいものを獲得し生み出していく。
社会で考えると何だろう。 アーレントが人間の生活を Labour, Work, Action と分けてましたね。 「労働、仕事、活動」になるかな。
「労働」はイヤイヤ働かされるイメージがあったけど、 よく考えると社会をメンテナンスする重要な役割がありました。 アーレントもそう指摘していた。 これは社会を keeping する側面なわけです。 ケアの原理が働いている。
「仕事」は work で、やっぱり何かを作り出すこと。 社会を物質的に豊かにしていく。 それに対し「活動」は人生をactiveに味わうこと。 人と人との協働作業を通して社会を質的に豊かにすることです。
ノーティングとして
「書くこと」にもこの3つの側面がある。
work は文字通りで「作品」を仕上げることでしょう。 本を書き上げるのでもいいし、ブログに投稿するのでもいい。 パワポでプレゼンするのもそうだし、プロジェクトをマネージするのもそうでしょう。 「なされたもの」が自分を表現する「作品」となる。 たいていのライフハックは work を目指しています。
ただそれだけじゃない。 keeping としての「書くこと」もある。 ライフログを撮ったり日記を書いたりする感じですかね。 心のモヤモヤを外に掃き出しておく。 そうした「お掃除」としてのライフハックもあります。 セルフ・ケアとして書く。
混乱を整理したり、考えるための隙間を空けるために棚上げしておく。 そうしたメモの類は死蔵して構いません。 なんでも活かさなきゃ、と頑張る必要もない。 それは日々をメンテする掃除・洗濯であり、「作品」にならなくてもいい。 もちろん「日常系」としてエッセイにしてもいい。
反対に action としての「書く」とは何だろう。 迷宮型の、それ自体を味わうための「書くこと」とは。 すぐに思いつかないなあ。 遊びのような詩のような。
読書メモはもしかしたら action かもしれない。 keeping や progress を目指すより taste だものなあ。 旅行メモでもいいかもしれない。 他者と出会う体験をして、それを反芻する感じ。 何度も噛み締め直してみる。
action は「他者との出会い」が要点であり、 その「他者」は別に他人でなくてもいい。 自分がそれまで知らずにいたこと。 そうしたものに心が開かれることだから 「いいアニメを見た」でもいいわけです。 触発されて本屋さんで鉱物学の本を立ち読みしてしまった。 そんなことを書くのでもいい。
そういえば今書いてるみたいに 「他の人のブログを読んでこんなことを考えた」も action なわけだ。 なんと、すでに実践していました。
まとめ(または三つ鉄輪)
あと、三項を並立させるのも大事ですね。 「迷路型か迷宮型か」だと二項対立になって、 二項対立だと「どちらがファーストか」と優劣を読み取ってしまう。 これは勇み足になります。
アーレントも「労働か仕事か」だと、 何か作品を生み出す「仕事」のほうが高尚に感じてしまう。 「活動」を付け加えることで、相互に補助し合う関係に落とし込んでますね。 二つの項目を第三項がリンクすることで「対立」を逃れています。
エヴァンゲリオンのMAGIシステムかな。 葛藤を扱うには3つの人格が必要になる。 交流分析のPAC。 生成AIにもそのうち取り込まれるだろうか。