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iPadを筆記具として使う方法を模索します

Evernoteの終焉2023

憶測で申し訳ないが、今回のEvernoteによるアメリカ撤退は、ロシア系企業への嫌がらせがあったのではないかと推測している。

Evernoteとは何か

Evernote - Notes Organizer 10.52.1
分類: 仕事効率化,ユーティリティ
価格: 無料 (Evernote Corporation)

Evernote社は2004年ステファン・パチコフが創立した。 パチコフはモスクワでパラグラフ社を興し、ニュートンの手書き認識ソフト開発に携わった人物である。

アップルのニュートン・プロジェクトは現在のiPhoneの源流である。 手のひらサイズのデバイスにペン入力で文章を書いていく。 書かれた文章のタイプに応じ、自動的にスケジューラや連絡帳に振り分けられ、データベースを構築する。 データ・ドリブンな情報管理端末を目指していた。 それはシステム手帳なZaurusではない。

ニュートンは当時のテクノロジーの手に負えるものではなかった。 デバイスは販売されたものの、酷評に見舞われた。 ただ、そのコンセプトは素晴らしく、復活の機会を伺っていた。 それがEvernoteだったのではないだろうか。

まずはWindowsのアプリとして開発される。 インターネットを媒介とすることで、他のPCとデータ共有する。 ただ、そこでは何も起こらなかった。 Web日記の延長でしかなかった。 iPhoneが現れるまで真価は理解されずにいた。

2008年にAppStoreが解禁となり、一気にEvernoteが注目される。 というのも、iPhone + Evernoteとはニュートンのことだからだ。 この組み合わせでPDAのコンセプトが現実となる。 Personal Digital Assistant。 これほどEvernoteの本質を表す言葉はない。

個々のユーザのアシスタントになる。 2010年日本に上陸したときフィル・リビンCEOは「ユーザの脳を拡張したい」と抱負を述べた。 「第二の脳」の先駆けである。

なぜ失敗したか

たぶんユーザ層を広げすぎたのだろう。 確かi-mode用もあったと思う。 データが増えると読み込みが遅くなる。 サーバーに負荷がかかるシステムだからだ。

負荷を下げるために、つなぐ端末を二台までに制限した。 これで魅力が半減した。 無料ユーザを切り捨てる目的だったろうけど、その戦略で成功したサービスはない。 人に勧めにくくなるからである。 プレ・インストールだけでは普及していかない。

またリビンCEOを辞めてからコンセプトが迷走し始めた。 ニュートンらしさがなくなっていく。 ノートに書いたことが自然と個人的データベースとなる。 そこの芯がブレなければ、もっと軽いシステムにできたと思われる。 作り手側も世代交代して、ニュートンのイメージを共有できなくなったのかもしれない。

ユーザはわがままで注文が多い。 そして一貫性のない主張をする。 そのニーズに合わせればシステムは崩壊する。 Evernoteはその典型例になってしまった。

謎が残る

ただ、致命的なミスをEvernoteがしたとは思わない。 FacebookTwitterよりも重要な基幹インフラである。 いざとなれば、ノートの隙間に広告を載せて生き残ることもできる。 なぜそちらに進まず、ヨーロッパの企業に移譲することになったのか。

こうなると陰謀説を唱えたくなる。 国粋主義者のバイデンがロシア系企業に圧力を掛けているのではないか。 中国系という理由だけでTikTokを潰そうとするのと同じ構図だ。 ネットに流れる情報をアメリカだけで掌握したい。 軍事的な情報に限らず、すべての情報を。 それも個人のプライベートな情報を。

まとめ

いや、Evernoteはこれからですよ、きっと。

iPhone以前

2006年という設定がいい。 スマホが普及する以前の空気が「呪い」と絡まって、国産ホラー映画もあの頃じゃなきゃ生まれなかったのだと再確認します。 貞子さんもデジタルテレビからじゃ出てこれない。 日常と闇とが解離する以前の物語。