Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

キーボードは楽器の進化をなぞっている

Earthen Rhythms, a local african drumming group at the Summertime in Maitland, NSW, Australia celebration.|600 Backlink | Photo by Lee Pigott on Unsplash

電車の中でスマホを使っている人を見ると、たぶんフリックなのかな、左で本体を握りしめ、右手の人差し指で入力しています。 同じところをトントンと叩く人もいるのでケータイ式の人もいるのでしょう。 たいてい中年の女性ですが。 若い頃はポケベルを使いこなしていた世代か。

おじさんでキー入力している人は見かけません。 スマホでは文字を書かないのかもしれない。 何かサイトをじっと見つめている光景に遭遇します。 あるいは部下からのメールを読んでいる?

若い人たちはフリックですね。 それも素早い。 会話の速度でSNSをしている。 そんな印象がします。 さすがに画面までは覗き込んではいないので、何をしているかまではわかりません。 対面から見ているだけです。

片手入力

そんなわけで観察してみると、大部分の人は片手入力です。 フリック・キーボードを使っている。 それも左手は本体固定で、右手だけで入力する方法です。

考えてみると手書きの場合もそうなります。 右手だけで字を書く。 あるいは左手だけで書く。 両手を駆使して文字を書く人はいない。 左手にマーカーを持つ人はいるかもしれないけど字を書くわけではありません。 まして両手にペンを持って別々の行を埋めていく人はいない。 片手で文字を書くのが一般的です。

これは脳の言語野が左側頭葉に偏ることと関係あるのでしょう。 左脳半球は右側の感覚器官から入力を受けとり、右側の運動機能を司ります。 文字は左から右に書かれているので、右視野の単語を先に読み取り処理している。 文字を書くときも右手の制御を左脳半球が行っています。

ここはわからないところですけどね。 右から左に文字を綴る文化はあるし、日本語も基本は上から下です。 決して右視野に文字が来るわけではありません。 それでも文章を読むのに不都合はないから、左脳半球だけが言葉に関わっているのでもないでしょう。

ただ左脳半球が脳梗塞を起こすと言葉に障害を受けるので、違いがあるのは確かです。

タイピング

すると不思議なのはキーボードです。 タイプライターが発明されるまで書字に両手が関与することはなかった。 両手でキーを叩くという動作はオルガンやピアノの延長でしょう。 鍵盤楽器は打楽器の変形で作られています。 ということは、音楽に関わる脳の領域を文字作成に流用したわけです。

なのでタイピングはドラムです。 両手でポコポコ叩く。 森林の中での伝達手段として発達したドラムが、現代社会の表現方法に受け継がれている。 部族の通信手段。

両手を交互に動かすので脳全体の血流を増加させます。 片手だけしか使わないと血流も偏るので疲労が溜まりやすい。 全体を活性化させる方法はEMDRと同じでリラックス効果があります。

EMDRというのは心理療法の技法です。 人がパニックに陥ると目が点になるというか、脳の血流が減少し、眼球の動きが止まってしまう。 それで眼球を左右に動かしたり、両手の手のひらをタッピングで刺激することで、脳の血流を回復させる。 すると深い弛緩状態になります。 その方法がEMDR。 たぶん肩たたきにも同じ効果があります。

そしてタイピングにも同じ機序が働いている。 類人猿のドラミングが人類の打楽器に受け継がれ、今はキーボードになっている。 叩くことは気持ちいいのです。

管楽器的入力

でもフリック入力は打楽器ではありません。 弦楽器です。 ギターやシタール、ハープの仲間です。 古代ギリシアで片手で持つ「キタラ」が進化したもの。 竪琴ですね。 キタラがギターになってフリックになった。 吟遊詩人が語りの合間に爪弾く楽器です。

弦楽器には音階があります。 たぶん打楽器より弦楽器の発明の方があとでしょう。 打楽器で音階を出すにはドラムごとの担当を決めないといけないから集団でないと演奏できなかった。 部族が心を一つにするときは打楽器が使われたでしょう。

それに対し、弦楽器はひとりで音階を操れる。 とても個人主義的な楽器です。 ギリシア神話でも神々は竪琴を持っていますね。 太鼓は叩いていない。 宇宙の調和をひとりの神が左右できる。 そうした象徴になっているように感じます。

すると管楽器がないなあ。 混乱の神パンは縦笛を吹いていたはず。 トリックスター的な楽器が管楽器です。 管楽器的な入力法というのはこれから出てくるのだろうか。

キーボードで表現するとしたら、叩くよりも押さえる形。 指を離した箇所に応じて入力が変化する。 そうした方式か。 あるいはトロンボーンみたいにバーの伸縮で子音を指定し、ボタンで母音を確定するか。 うーん、想像できないなあ。

まあ、音声が管楽器なんですけどね。 口の形を変えることで音を変化させ、それを言葉にしている。 最近だと EchoSpeech という入力装置が注目されています。 声を出さなくても、口の形をAIが読み取り文字に変換するシステム。 黙ったままでも無線で意思疎通できる。 テレパシーやオデコパシーまであと一歩です。

タイプライターが現れるまで「両手で書く」をイメージできた人はいないし、管楽器的な入力法も実際に出てきたら「そりゃあそうだ」となるんでしょうね。

まとめ

ほかに楽器の種類ってあったっけ?