Jazzと読書の日々

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シンタグマにDESCを応用してみる

Rushing Stream Photo by kazuend on Unsplash

ここのところ、シンタグマとパラディグマという二側面を考えています。 この切り口は便利なツールかもしれない。

シンタグマ

いわゆる「話の流れ」のこと。 文章を書けば、そこには話題の展開がある。

オブジェクト的に言えば、カードをどういう順番に見せていくかとか、 パワポのスライドの順番を考えるところがシンタグマに当たります。 話というのは、論文であれ小説であれ、時系列に沿って並びますからね。

ここに、以前考えていたDESCを絡めることができそうだと思いました。

DESC

DESCというのはアサーティブネスと呼ばれる心理療法です。 1940年代にソルターという催眠療法家が考えました。 自分の中にあるモヤモヤをうまく言葉にできると、身体全体がスッとリラックスした状態になる。 そのためのスキルです。

DESCで中心になるのは「E」の部分。 つまり「自己表現 Expression」です。 自分の気持ちを言葉にする。

ただ、自分の気持ちや考えをいきなり出しても相手に伝わらないので、「D」の部分、他の人とも共有できる「事実記述 Description」を前置きにします。 誰が見ても「そうだなあ」と思う客観的な事実から押さえる。 「今日は雨が降りそうですね」とか「今年の夏は暑かったですね」とか。 まず相手との接点を作る。

「知っていること(D)」から始めて、それから「E」に繋ぐ。 「E」はこちらの気持ちですから、相手の知らないことです。 既知の情報から未知の情報に展開する。 それが「自己表現」を他者に伝える手順です。 ほら、文章を書く参考になりませんか。

ただ「E」で終わると、相手には「だからなんだ?」とモヤモヤを残してしまう。 こちらのモヤモヤを吐き出すのはいいけど、相手に押し付けただけになりやすい。 モヤモヤが感染して終わりではコロナと変わりません。 もう一歩踏み込んで「提案 Suggestion」を入れる。

具体的にどうなるといいのだろうか。 それが「S」です。 「目標」とも言えるし「欲望」とも言える。 自分でも話し始めには落とし所がわかりません。 抽象的な話になりやすい。 そこを「実際にできそうなことはなんだろうか」と考えていく。

「S」の形が整えば、話としては一段落です。 でも、それは自分だけのこと。 相手にその提案を押し付けてはなりません。 そこで「選択 C」が入る。 相手に「どうするか」を選んでもらう。 相手にも自己主張の権利はあり、こちらはターンエンドです。

「どう思いますか」と閉じることで、相手との対話が始まる。 そのためのシークエンスがDESC。 まず共通点を押さえてから自分の意見を述べ、具体的な未来像を提案する。 そして読者にもいっしょに考えてもらう。 巻き込みます。

シンタグマ

話の展開を作るとき、このDESCを応用する。 すると「相手に伝わる確率」が高まるんじゃないだろうか。 もともとは対話であるアサーティブネスを「テキストを書く」にも使うと「意見を伝える」のに便利かな、と(E)。

オブジェクト指向で考えると、初めは「センテンス」です。 一つの「閃き」が現れる。 今の場合は「シンタグマはDESCじゃないか」ですね。 これが朝起きたとき出てきたので「どういうこっちゃ?」と咀嚼しているわけです。 自分でもわかりません。 そのままじゃあ、記事にしても人に伝わらない。

「閃き」の展開にDESCが使える。 以下のような質問を自分に向けることでセンテンスを増やしていきます。 Q&Aを書いていく要領です。

  • D...それはどういうことだろうか。what
  • E...自分はなぜそれが気になるのか。why
  • S...具体的にどうなるといいのだろうか。how

この三つの質問に答えていく。 すると「閃き」が展開してシンタグマを作ります (いま「シンタグマはDESCじゃないか」に対し「具体的にはどうなるといいか」のSを書いているわけです)。

文章の骨組みにはDESCの構造がある。

と思ったら「C」が抜けているなあ。 短い文章であれば、「C」は「どう思いますか」と書き足せば済むのですけどね。 「残心」みたいに、相手からの返事を待つ心持ちです。

長い文章の場合は「読者目線」になることかと思います。 そこまでの文章を「他人事」みたいに読み返し「違うんじゃないか」と思ったり、そこから新しい「閃き」が沸いたりして、次の「チャプター」に進んでいく。 その蝶番になるのが「C」でしょうね。

まとめ

もちろん「E」を書けば「S」が出てくるほど世の中単純ではありません。 「矛盾」をはらんでいるものだからです。

その「矛盾」を扱うのがパラディグマ。 状況において何と何が衝突していて、自分の中で何と何が対立しているのか。 Dに二項対立がありEに葛藤がある。 「矛盾」は外の世界と内の世界で呼応しあっている。 そこをどう記述するか。

それがパラディグマだろうけど、さて具体的にどうすればいいのだろう。