Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

大晦日の居酒屋にて

登場人物

  • ジル・ドゥルーズ: 哲学者。60代後半。やや神経質そうな風貌。
  • ジャック・デリダ: 哲学者。同じく60代後半。知的な雰囲気を漂わせる。
  • 居酒屋の店主: 50代くらいの男性。人懐っこい笑顔が特徴。

場所: 大晦日の夜、都内某所の小さな居酒屋。カウンター席のみで、テレビでは紅白歌合戦が流れている。

場面

(店内に先客はドゥルーズのみ。カウンターの隅で熱燗を啜っている。しばらくして、デリダが入ってくる。店主は笑顔で出迎える。)

店主 「いらっしゃいませ!大晦日ですねぇ、ゆっくりしていってください」

デリダ 「ええ、どうも。すみません、一人なんですけど」

店主 「お一人様大歓迎!カウンター空いてますよ、どうぞ」

(デリダドゥルーズの隣の席に座る。軽く会釈をするが、ドゥルーズは気づかない。)

デリダ (小声で) 「…熱燗、いただきます」

店主 「あいよ!熱燗一丁!」

(店主が熱燗の準備を始める。デリダはコートを脱ぎ、周囲を見渡す。ドゥルーズが、おもむろに口を開く。)

ドゥルーズ (独り言のように) 「…結局、意味なんてものは、いつも記号の迷宮を彷徨っているだけだ…」

デリダ (少し驚いたように) 「…ほう、それは面白い。まるで意味が、常に不在を指し示すかのようですね」

(ドゥルーズ、ようやくデリダに気づき、目を細める)

ドゥルーズ 「あなたは…?」

デリダジャック・デリダと申します。哲学を、少々」

ドゥルーズ (冷ややかに) 「ジル・ドゥルーズだ。…哲学?あなたの脱構築主義は、あまりに言葉遊びに過ぎない」

デリダ (微笑みながら) 「言葉遊び、ですか。私はむしろ、言葉が常に自己を裏切る、その構造を暴こうとしているだけです。あなたのリゾーム概念もまた、固定された意味から逃れようとする試みではありませんか?」

ドゥルーズリゾームは、決して脱構築ではない。それは生成の、差異の運動だ。固定された構造を解体するのではなく、常に新たな連結を生み出すのだ」

デリダ 「連結、ですか。しかし、その連結もまた、新たな構造を形成する危険性を孕んでいる。つまり、権力装置の再生産の可能性を」

(店主、熱燗を二人の前に置く。)

店主 「はい、熱燗です。ゆっくり飲んでくださいね」

(二人は軽く会釈し、それぞれ熱燗を一口飲む)

ドゥルーズ 「権力? 権力は常に流動する。そして、それに対抗する力もまた生成する。私は、欲望が根源的な力だと信じている」

デリダ 「欲望…確かに、欲望は構造を突き破る力となるかもしれません。しかし、欲望すらも、言葉や記号によって規定されているという事実を忘れてはならない」

ドゥルーズ 「言葉は、あくまでツールだ。欲望の本質を捉えられない限り、その真の意味を解釈することはできない」

デリダ 「本質、ですか…その本質こそが、常に私たちを欺くのです。結局、私たちは常に『テクスト』の中に生きており、そこから逃れることはできない」

ドゥルーズ 「逃れる必要などない。テクストは、常に変化し続ける運動の一部だ。大切なのは、それをどう読み解き、どう生成していくかだ」

(少しの間、二人は沈黙する。テレビでは紅白歌合戦の盛り上がりが最高潮に達している。)

デリダ (微笑みながら) 「…結局、私たちは同じような迷路を歩いているのかもしれませんね」

ドゥルーズ (少しだけ表情を緩めて) 「…確かに、少しばかり、道は違うがな」

デリダ 「お互い、永遠に彷徨い続ける運命なのかもしれません」

ドゥルーズ 「まあ、それも悪くない」

(二人は再び、熱燗を口にする。店主が、テレビを見ながら笑っている。)

店主 「もうすぐ年明けですね!来年もいい年になりますように!」

(ドゥルーズデリダ、小さく頷き合う。)

デリダ 「…もう一杯、熱燗をいただいても?」

ドゥルーズ 「いいだろう。…私もだ」

(どこからか除夜の鐘の音が聞こえてくる。)

まとめ

「大晦日の夜にドゥルーズデリダが居酒屋で遭遇し、相手の哲学を批判しつつ、やがて意気投合する場面を戯曲風に描いてください」と頼んだら出てきました。

これは便利だなあ。 少し手直ししたけど、著作権は大丈夫か?