Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

キーワード・マッピングをもう少し考える

茶色のコンクリートの建物の写真 – Unsplashの無料カンタベリー写真

ダンジョン飯」とは「黄泉へぐい」のことだったか。

ストーリー・マッピング

「ストーリー・マッピング」はアジャイル用語にあるので「キーワード・マッピング」に変更しようと思います。 キーワードをマッピングしていく。 そのまんま。

本を読むとき地図を作りながら読み進める。 そうしたテクニックのことです。

見出しにキーワードはある

実際にやってみると「小見出し」がポイントだと思いました。 作者の人が「キーワードはこれです」と示しているのが「小見出し」。 老婆心が身に染みる。 ここを頼りにキーワードを拾い上げればマップが作れます。

たとえば「センスの哲学」の第一章。 最初の小見出しは「感覚と思考」。

紙に下記のように描きます。

graph LR
感覚---思考

あとは出てくるキーワードを並べていく。

最初に「センス」の辞書的な定義が出てきますが、その中で「判断力」が日本語でよく使われる用例となってますね。 はい、「判断力」と。 それから「判断力」について歴史的な変移を追いかけ「直観→推論」が出てくる。 この「直観」を「感覚的思考」や「思考的感覚」と言い換えながら「感覚と思考」を関連付けていく。 そして、そうした「感覚的思考」を「センス」に結びつけることでこの小節は終わります。

図にしてみると下記のような感じ。

graph 
感覚---思考
センス---判断力
判断力---直観
直観--->推論
直観---感覚---思考---直観
直観---センス

「直観」が中心にあるのが見て取れます。 グラフ理論でなんとか言うんだったなあ。 一番「手」の多いノードですね。 この小節は「直観」を導き出すのに費やされています。

次の小節「選ぶセンスから出発する」のはじめで

センスとは、「直観的にわかる」ことで、いろいろなことにまたがる総合的な判断力である。直観的で総合的な判断力。そして、感覚と思考をつないだようなものである。

と、まとめてくれています。 マップを確認してくれている。 千葉先生、親切なガイドさん。 読者が迷子にならないよう心を砕いてくれます。

先ほどのマッピングでうまく行きそうです。

箱メソッド

そう、「箱メソッド」に似ている。

考えてみると小見出しを「箱のラベル」と見なすんだから、マッピングと箱メソッドは同じコインの表と裏。 書くほうから考えれば「箱式アウトライナー」で、読む側から見ると「マッピング」になるわけか。 ずっとこの周りをぐるぐる回っているなあ。

これ、高校の英語で「ストラクチャー・リーディング」を習って、未だに引きずっているのかもしれません。 二項対立を見つけて、それがどう解消するかを読む。

苦手だったなあ。 苦手だったからいろいろアレンジし、今の「自分の思考法」を形成しているのでしょう。 「箱」も「マッピング」もその延長にあるらしい。

ただ両方をまとめようとするとサイズ感がおかしい。 「見出し+内容」を「箱」と考えるんだったら、その中に「ダンジョンの部屋」があることになります。 「箱」の中に「部屋」がある。 こりゃあ、反対でしょう。 「部屋」の中にキーワードの「箱」が並んでいる。 その「箱」をマッピングすることと捉えるのが妥当かもしれません。

やっぱり「迷宮メソッド」か。 言葉は現実というリゾームを線形化せざるを得ない。

書物は時間的に展開するのに、マップは空間的に配置している。 これは人間の理解プロセスに「移動」が伴うからでしょう。 トマス=アクィナスが言ってたような。 真実はそこにあるのに、人は止まっていると把握できない。 真実の把握には動く必要がある。

ここまで書いて気づいたけど、この「空間」を捉えるのが「直観」で、 でも人には「身体」があるから「線の運動」に落とし込む作業が入る。 これが「センスの哲学」の次の章で出てくる「リズム」になるわけか。 まあ、そうだよねえ。

クラスタ

小見出しにあるキーワードは「部屋」に入ると、いくつかの「箱」に分けられます。

キーワードを砕いて、別のキーワードの集まりで定義する。 他のキーワードと対比することで特徴を浮かび上がらせる。 時間軸を動かすことでキーワード自体を変容させる。 相反するものを掛け合わせて新しいキーワードを生成する。 まるで錬金術。 要するに様々な分析が「部屋」の中で行われます。 これをマッピングする。

マッピングすると「クラスタ」が気になります。 閉じたグループを作る項目群がある。 先ほどの「センスの哲学」だと「感覚・思考・直観」のクラスタと「直観・センス・判断力」のクラスタがある。 これがこのあと「上手い・下手・ヘタウマ」のクラスタに変化し「再現性・無自覚・線の運動」と形を変えていく。 クラスタ自体に弁証法がはめ込まれていて、それが弁証法的に展開するという大技が使われています。

あと「開かれなかった箱」にも気づきます。 キーワードに挙がっていたのに、そのあと出てこなくなる。 「引き算」という「箱」があったのに、これは覗いてないですね。 ミミックだったのでしょうか。 たぶん「動きすぎてはいけない」で「偶発的な切断」と言っていたテーマが隠れてそうだけど、今回は扱われなかったようです。

後半に出てきてたのかな。

まとめ

ダンジョンに潜ると「箱」があり、その「箱」には餃子が入っている。 ホクホクの焼き立ての餃子が。 頬張るとカリカリの香ばしさが口腔に広がる。

用心するがいい。 異界を食する者は自らも異界となることを。