Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

ストーリー・マッピングで本を読む

本はダンジョンである。 章を進むごとに階層は深くなります。 手ぶらで潜るのは危険。

そこでマッピングです。

ストーリー・マッピング

とはいえ、実は使ったことがない。 そもそも考えてもない。 どういう方法だろうか。

ツールを作るときは「どうすればいいか」ではなく「どうなるといいか」です。 完成したあとの状況をイメージする。 「本を読みながら地図を描く。 紙にメモしていく。 地図を見ると話の流れを見失わない」。 そんな感じになりそうです。

あまり欲張らないのがいいでしょうね。

  • 小説なら登場人物を、論文ならキーワードだけ書く。手短に済ませます。
  • 相関図みたいなのを描く。矢印の種類で区別する感じかな。
  • 章が変われば地図も別にする。階層ごとに描くことで時間経過を扱いやすい。

ポイントはここあたりで。

試行実験

とりあえず方針ができたので試してみます。 モックアップを作って問題点の洗い出しをする。 ツールを作るときの基本です。 動かしながら考えていきます。

練習として「センスの哲学」の「はじめに」で試してみましょう。 キーワードを抜き出し、言い換えなら「---」で、変化は「-->」、対立は「<-->」で繋いでみます。

graph
センス --- ある感覚
ある感覚 --- 芸術と生活を繋げる感覚
センス --> アンチセンス
仮固定 --> 脱構築
努力ではどうしようもない <--> 人を解放する

上の記法は mermaid をモデルにしています。 ブログに描画することもできる。

graph
センス --- ある感覚
ある感覚 --- 芸術と生活を繋げる感覚
センス --> アンチセンス
仮固定 --> 脱構築
努力ではどうしようもない <--> 人を解放する

3つのグループに分かれました。 でもバラバラの話をしているわけではない。 関連するキーワードを「===」で繋いでみましょう。 恣意的で構いません。

センス === 仮固定 === 努力ではどうしようもない
アンチセンス === 脱構築 === 人を解放する

これを mermaid に追加します (上から下へのgraphがいいかも)。

graph
センス --- ある感覚
ある感覚 --- 芸術と生活を繋げる感覚
センス --> アンチセンス
仮固定 --> 脱構築
努力ではどうしようもない <--> 人を解放する
センス === 仮固定 === 努力ではどうしようもない
アンチセンス === 脱構築 === 人を解放する

いやあ、ダンジョンっぽくなった。 でも迷宮の構造は見えますね。 「センスからアンチセンスに話を進めることで、努力ではどうしようもないという思いから人を解放する」という趣旨です。 これが「はじめに」に書かれている。

「人を解放する」とはどういうことでしょう。 「芸術と生活を繋げる感覚」が要点らしい。 普通は芸術と生活を別々のものと信じている。 その壁を崩す狙いが見て取れます。

検証

ところで、このマッピング、問題ないでしょうか。 いまマッピングを考えていました。 文章を俯瞰するのに便利だけど、果たして「使いやすい」と言えるだろうか。

実際「はじめに」は数ページです。 それだけのことに手間暇を掛けすぎている。 「センス --> アンチセンス」だけでいいかもしれない。 とすると、も少しキーワードは省いて良さそう。 重要なら本文で何度も繰り返すでしょうし。

矢印の種類はどうでしょうか。 カテゴリーを増やしてみる? でもそれは面倒くさそうな感じがします。 むしろメモの段階では「---」だけにし、地図を振り返るとき、変化や対立を明示する「>」を付け加えるのがいいかもしれません。 読んでいる途中で「変化か否か」と考え込むと、本文が頭に入ってこない。 展開もわからないし。

矢印はあとからにしましょう。

感想

いま思いついたのは「ページを部屋に見立てる」です。

だいたい1ページに一つキーワードがあり、その説明に費やされている。 定義やら具体例やらにページが丸ごと使われています。 その部分はマップに載せないことにします。

なのでキーワードを「部屋」と見なし、その繋がりを矢印で表す感じ。 部屋と廊下をマッピングの基本アイテムする。 これで「迷宮」を描けそうです。

ページが部屋だと部屋数が結構あるわけで、A4用紙を半分に折って書いていく。 小見出しの間は一枚に収まるけど、大見出しで紙を変えたほうがいいかな。 章ごとに書くのを考えていたけど、間に合いそうにない。 内容が濃い場合はとくにそうなりそうです。

もちろん紙に描くのは図のほうです。 図を手描きするのであって、ソースを書くわけじゃありません。 きれいに描こうとしない。 でも読み進めるにはそれで十分です。

まとめ

この方法で一冊分のマップを作ってみる。 すると改良点が見えてくるでしょう。

というわけで、それについてはまた今度。

追記

アジャイルに「ユーザー・ストーリー・マッピング」という技法があった。 ソフトウェアの開発で具体的な「ユーザー」をイメージし、どういう動線になるかとか問題点は何かとか洗い出す方法。 似てるような似てないような。

これと勘違いされることはないよね? キーワード・マッピングにした方がいいか。