Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

フリーレンを大人買いしてしまった

大人の特権。

フリーレン

アニメが面白いので原作を買ってみました。 Kindleは理性の燃え尽きた夜中に買い物できるから恐ろしい。 1巻だけのつもりが立て続けに12巻まで。 なるほどまだオレオールに着いてないのか。 連載中みたいですね。

原作とアニメの違いは、アニメだと印象的だった戦闘シーンやダンスのところが原作だと一コマだったりすることです。 意外な感じがするくらいあっけない。 見せたいところがそこじゃないからでしょう。 登場人物たちのやりとりがメインに据えられていて、そこにほっこりする。 時にうるっとくる。 いい話になっているなあ。

連載漫画は基本的にアウトラインがないのでしょう。 完成品があってそれを描くのではない。 いつ打ち切りになるかわからないですもんね。 読者からの反応を見ながらストーリーを伸ばしたり縮めたりする。 あとからの要因。 その偶然を活かせるかどうか。

フリーレンはそこで成功しているように感じます。 とにかく、どう展開するかが読めない。 読めないから読ませる話になってます。

作為的なプロットよりも、キャラたちが動き出して切り開いていく。 最初から引き付けられるし、新しいキャラクターが追加されても、皆魅力を放っています。 読み進めると魔族たちも憎めなくなっていく。 いいなあ、これは。

対偶図

論理学に「対偶」ってあるじゃないですか。 ある命題「pならばqである」に対し、裏が「pでなければqではない」で、逆が「qならばpである」。 そして「qでなければpではない」が対偶になります。

この関係なんですが、冒険もののパーティにもあるなあ、と思いました。

「このすば」もそうかな。 RPGのお約束なんでしょうか。 四つの職種があってバランスが取れている。 縦軸と横軸は何になるんだろう? 前衛と後衛? 陽キャ陰キャ? 美形とおっさん? いろいろ考えられるけど、それは物語によって変わってきそうです。

バンドものでもそうかも。 ボーカル・ギター・ベース・ドラムに分かれていてストーリーが動き出す。 「けいおん」もそうだったし「ぼっち・ざ・ろっく」もそうですね。 主人公の立ち位置は違うけど構造としては同じ。 そもそもビートルズがそうだったし。

とすると、この四つのキャラを設定すると、相互作用が起きて物語が動き出すらしい。 キャラたちが自分らで勝手に騒動を起こす。 それには4人必要ということです。

ザインの欠如

なのでフリーレンのパーティは僧侶枠のザインが参加したところで「完成体」です。

ところがこれを数話で崩してしまう。 ここからがすごいなあ。 ザインは Sein だからドイツ語の「存在」という意味。 「存在欠如」がそのあとのテーマになり、一級魔法使い試験編に入るわけです。 全体のテーマも「忘却と記憶」ですからね。

一級魔法使い試験編はジャブですわ。 あとの展開に必要となるキャラクターをどっと登場させる。 そのための見せ場です。 ネタバレにならない範囲で書くと、新キャラたちはザインの穴を埋める立場になって、次のエピソードからの牽引役になります。 でも誰もザインの役を継続して受け持つことはできない。

これはあれですね。 担当さんが「先生、フリーレン大人気ですよ。新キャラ出してワンピースくらい引き伸ばしてください」と無茶振りしたパターンだな。 いやいや、ザイン加入で話は進んだじゃないですか。 回復担当無しで冒険大変でしょ。 誰がストーリー考えてくれるの? それくらいの窮地に追い込まれたと思われます。

なのでここからさらに面白くなるんですよ。 ゲナウやデンケンの株が上がる。 買っとくなら今のうち。 どのエピソードもアニメで映像にしてほしい。

まとめ

こういう物語を「概念」でやってみたいなあ。

論文って「概念」の冒険譚だと思うんですよね。 「概念」が仲間とともに試練を克服し成長していく。 物語の終わりはまだ誰も知らない。 予定調和に終始しても面白くない。