Jazzと読書の日々

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「推しの子」に学ぶGTDとタスク管理

GTDはTodoリストではありません。

GTD

GTD は Get Things Done(やっておしまい) なので 、Todo(やるべきこと)ではなく、Done(やったこと)のリストを作ります。 ライフログですね。

基本は「自分で今すぐできること」。 これをする。 やったらリストに書く。 プロシュート兄貴の「心の中で思ったなら、そのときすでに行為は終わっている」が正解。 「こんなにやったのかあ」とあとで達成感を味わうもの。 「まだやってないこと」が並んだら気が重い。 Todoリストって見るのもイヤでしょ?

「自分で今すぐできること」にならないのはどういう場合か。 それには3つのパターンがあります。 「自分で」できない・「今すぐ」できない・「何」をすべきかわからない。 いずれも「やる気」とか関係ありません。 「やりたいこと」でもないのだから。

なのでGTDではどの「できない」かを診断し、それに合わせた対処をします。

  • Try:自分で今すぐできること→とりあえずやってみる。
  • Ask:自分ではできないこと→人に尋ねたり頼んだりする。
  • Suspend:今すぐできないこと→いつするか日付を決める。
  • Know:何をすべきかわからない→情報を集める。

頭文字をとると「TASK」。 このフローチャートで動くと、どういう課題であれ「人に頼んだ」や「予定を立てた」という完了形になります。 もうDoneになった。

「何もしてない」が「やるべきことはやった」に変化する。 それがGTDの考え方です。

推しの子 第14話

東京ブレイドの舞台稽古に原作者のアビ子先生がやってきて「脚本、全部書き換えてもらえますか」とゴネる回。

アクアの行動はGTDから見ると理に適っています。 あかねが鞘姫の演技について悩んでいると「じゃあ、演出家に尋ねたら?」とGTDに落とし込んで行動に移す。 自分で解決できないときは他人に尋ねる。 抱え込んだりはしません。 すぐDoneにする。

アビ子先生がゴネたときは「脚本が上がるまで待つしかない」とサスペンドするし、「ステージ・アラウンド」を自分が知らないとわかったらすぐ情報を集める。 やるべきことへのフットワークが軽い。 アクアはGTDマスターを体現しています。

アビ子先生への対応も「自分ができること」ではないから適任者を探す。 どういう対応をするかは吉祥寺先生に一任する。 細かな注文はつけません。 何をするかは自分の手を離れている。 そこをわきまえています。

誰が救われたか

アクアがしたのは「チケットを渡す」という口実作りです。 接点作りのセッティングをする。 何が起こるかわからないけど、まずはそれが必要だろう、と。

そこまでは吉祥寺先生も「この業界は変人が多いから」や「アビ子先生は極度のコミュ障で」と「変わらないこと」の言い訳をしています。 問題を個人の「パーソナリティ」に帰属させ、自分が何もできないことを正当化しようとする。 よくあるパターンです。

なので何かDoneを作る。 「チケット」を理由に吉祥寺先生に動いてもらう。 「できない理由」を考えるのでなく「できること」をする。 そうすると状況は動きます。

状況が動くと「できること」の数が増えていく。 原稿を手伝ったり夜食を作ってあげたりと「できること」が増え、アビ子先生と大ゲンカするという大事なこともできる。

アビ子先生の不満は「他人の話」から「自分の話」への展開をします。 役に立たないアシスタントの文句を言い、自分の意図を汲まない出版社への悪口を言い、そうした「他人の話」をしながら、「自分の好きな作品がドラマ化で改変されて悲しかった」という「自分の話」に移っていく。 そこで初めて本当に泣くことができる。

でもそれは吉祥寺先生のことですよね。 『今日は甘口で』は先生の作品なのだから。 吉祥寺先生自身が自分の作品を傷つけられて、怒りを感じ泣きたかった。 「でも、この業界はそういうものだし」と感情に蓋をしてしまった。 それをアビ子先生が代わりに怒ってくれている。 その怒りは本来自分が感じるべきじゃないか。

そのことに吉祥寺先生が気づいたのが今回の「解決」でした。 救われたのはアビ子先生よりも吉祥寺先生だったと思います。

次はGOAさんが救われてほしいけど、アビ子先生、謝れるかな。

まとめ

あかねの自殺未遂事件のときもそうだったけど、アクアって基本的に他力本願なんだよなあ。 自分が背負い込むよりも、ほかの人たちに役割を振って結果を待つ。 なのに、またアクア・ハーレムが広がっていくのがどうにも解せない。

これがGTDの持つ効能というものか。