Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

QWERTY配列はローマ字入力に最適である

typewriter|600 Backlink | Photo by Debby Hudson on Unsplash

QWERTYを褒めてみようと思う。

azooKey

azooKeyをiPadの日本語入力に使っています。 この拡張キーボードはデフォルトでも使いやすいけど、さらに自分でキーボード配列を作ることができる。 ここにハマってますね。 この2年間いろいろ試してきました。

いま試しているのが自作のWes配列。 キーボードを左右に分割したタイプです。 完全分割。 試行錯誤した末、この状態になっています。

iPadの場合、打鍵に使うのは中指がメインで、可動範囲が狭くなります。 キーボードをコンパクトにするとせせこましくなる。 それで中央分離帯を置き、両手にゆとりを持たせてみました。 これがまた、打ちやすいんですよ。

QWERTY賛歌

配列とするとQWERTYを基本にしています。

これについては多彩なパターンを考えました。 ハードウェアキーボード用に発表されている既存の日本語配列は、両手の指を効率よく使うことを目的にしている。 ホームポジションに指を置いて、できるだけ動きを少なくするにはどうするかを考察しています。

でもiPadiPhoneにその法則は使えません。 ソフトウェアキーボードは10本の指を駆使するようにはなってないからです。 ホームポジションに指を置いたらそれだけで入力になってしまうし、小指でコントロールキーを押す場面もない。 そもそも同時打鍵が使えません。 性格が全く異なるのです。

それでQWERTY配列を見直しました。 すると配列の意味が浮かび上がってきました。 英語ではどうかわかりませんが、日本語のローマ字入力と相性のいい側面がある。

QWERTYは上段・中段・下段の三つの層でできています。 上段は母音と半母音が中心になっています。 母音は「AIUEO」で半母音は「WY」ですね。 「A」は中段に移動してますが、変則と見ておきます。 「Q」の位置にあると打ちづらいから下げたのかな。

中段は子音が並びます。 子音でも清音の子音が中心です。 濁音は下段に並びます。 清音の「S」が中段にあって、その下に濁音の「Z」が来ています。 「F」の下には「V」、「H」の下には「B」。 清濁のペアが上下に並ぶようになっています。 変則なのは「T」ですが、これが上段にあるので濁音の「D」は中段に配置されています。

ローマ字入力にあまり使われない「Q」や「X」は周辺や下段に置かれています。 そう、日本語入力を考えると、不要なキーは打ちにくいところにある。 これが不思議なんですけど、そのおかげで苦痛なくローマ字が打てるのかもしれません。 使わないキーが中央の一等地にあったら、それを避けるために、もっとカナ入力が普及していたんじゃないだろうか。 ローマ字でもそこそこ使える配列にQWERTYはなっています。

H式入力

ローマ字入力はローマ字ではない。 これに気づいたのも大きいですね。

パソコンのローマ字には訓令式ヘボン式にない表記があります。 「hwi」とか「thi」とか。 これをうまく使うと「f」や「x」を省略できます。 使うキーを大幅に減らせる。

ポイントになるのは「H」で、QWERTYだと中央にあります。 一番打ちやすい位置にある。 「X」を使うより便利。 「edexita」だったのを「edhita」にできる。 一文字打鍵も減ってお得じゃないですか。

このH式もパソコンだから思いついた入力でしょう。 キー配列に合わせて入力法を補強する。 調べてみると、ローマ字入力にはただのローマ字にない工夫が詰まっています。 配列から入力法が生まれ、その入力法が配列をさらに活かす。

QWERTYにはそんな好循環が生じています。

QWERTYの歴史

abc記譜法に取り組んでいたとき気づいたのは、QWERTYの「CDEFG」。 アルファベットの順番で固まってますよね。 同じことは「IJKLMN」にも言えます。

つまり左には「CDEFG」、右には「IJKLMN」。 アルファベット順が守られている。 とすると、QWERTYの古い形ではただ「ABC....」とアルファベットが並んでいるだけで、捻りがなかったと思われます。

憶測だけではなんなので調べてみました。 三省堂のホームページには1870年代のタイプライターの配列が載っています。 予想通り、上段には母音。 中段以降はアルファベット順ですね。 左から右へ「BCDFGHJKLM」。 これが今も伝わる骨格になっています。

最初に動いたのは「T」だったらしい。 たしかにシャーロック・ホームズも「踊る人形」でそんなこと言ってましたね。 「E」と「T」は英語で頻出する。 それで真ん中に寄せられます。 そのあおりで「A」が中段に追い出されてしまいました。 てっきり「A」が自主的に移動したと思ったのに、割り込まれて渋々でしたか。

面白いのは「I」と「O」です。 この二つがくっついているのは数字も兼用したからだそうな。 「1」と「0」を兼ねていた。 1870年代なので年号を打つために「7」の下に置かれます。 そのあと1900年が近くなって「9」の下に引っ越すわけです。

こうした変遷をみると文字が生物のように思えてきます。 自分の生存に適した場所に収まろうとする。 自己主張し合うキータイプ。 すると今の配列も進化の途中なのかも。

まとめ

キーボードも生きている。