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オブジェクト指向ライティングの基礎

Minimal pencils on yellow Photo by Joanna Kosinska on Unsplash

今週のテーマは「オブジェクト化」だと思いました。

オブジェクト操作

ツァラトゥストラとObisidianのホットキーの話題しか書いてないようですが、読み直すと面白いもので、どちらも「オブジェクト」を考えようとしている。

ツァラトゥストラは一種のアレゴリー演劇です。 そのままでは扱えないことを、擬人化することで考察の対象にしている。 「大いなる悲しみ」とか「重さの悪魔」とか。 漠然とした気分に対し名前をつけ、それとツァラさんが議論を始めます。

場合によっては、ニーチェ自身の「詩人の部分」や「学者の部分」が対話相手になります。 ツァラトゥストラが「哲学者」を代表し、罵り合ったり笑い合ったりしますが、ニーチェ自身の内的対話なので、それがポリフォニックな思索になっている。

「心」に実体はありません。 でも、名前を与え「オブジェクト化」することで、イメージを通して、さまざまな心理現象を操作対象にできます。 そもそも「オブジェクト化」とは「対象化 objectification」のこと。 英語では同じ。 名づけることで対象として扱えるようになる。 言葉の不思議な側面です。

たとえば「悲しみ」と名づけると、自分の感情と向き合うことができます。 ただ名前をつけるだけではない。 「悲しみに蓋をする」とか「悲しみに浸る」とかの操作も付いてきます。 オブジェクト化は「操作」まで含めてオブジェクト化です。 蓋をしたり浸ったりするから「お風呂」みたいな扱いですね。 見立てが入っている。

「怒り」や「喜び」でも同じです。 感情を「お風呂」のアレゴリーで理解している。 日本語にデフォルトのセットとして入っています。 身体的なものに接地されている。

でも、どんなオブジェクト化を選ぶかは自由で、ニーチェは「人間」に接地しているわけです。 「人間」として扱えば「対話」ができる。 それを哲学対話に仕上げたのが「ツァラトゥストラ」というコメディ作品です。

プロパティ

Obsidianのホットキーは、センテンスを「オブジェクト」として扱う話でした。

「カード」や「箱」に接地する。 すると、それまでは扱えなかった「行単位」を、上下に動かしたり、折り畳んだりすることが可能になります。 「書くこと」の新しい側面が拓かれる。 それがマークダウンの「オブジェクト指向」でした。

これを展開すると「プロパティ」にも気づきます。 オブジェクト指向プログラミングだと、オブジェクトにプロパティを設定していく。 たとえばHTMLのボタンにCSSで文字色や背景色、ボタンの形態を指定する。 そうした性格づけがプロパティです。

ではマークダウンの「プロパティ」は何か。

箇条書きに「このセンテンスはどういう性格か」を与える。 そう考えると、見出しやリストの記法が「センテンスのプロパティ」だと思い至りました。 このセンテンスは引用であると「> 」で示す。 強調もプロパティに含めていいかもしれません。

あるいはインデントもプロパティですね。 リストの場合わかりやすいですが、上下関係が生まれ、折り畳むことができます。 平文でも同じで、グループ化し、フォールドの対象になります。 プレビューするとこのインデントは無効になります。

ただし、上下移動に対応するとよかったのですが、下位層を連れてくれないようです。

まとめ

センテンスをオブジェクト化する。 その際、どんな操作がさらに必要か。

「ゴミ箱」のメタファがほしいかな。 アウトライナーなら「非表示」で対応する操作がマークダウンでもほしい。 「コメント」だろうけど汎用性のある記法で。