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なぜEmacs以外からOrg-modeは出なかったのか

Ideas waiting to be had|600 Backlink | Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

「なぜEmacs以外からOrg-modeは出なかったのか」という疑問が湧いてきました。 もし思考の普遍性に基づくのなら、他のエディタにも現れただろう。

そこあたり、どうなんだろう?

Lisp

たぶん、他のエディタの場合は、拡張するより単独のアウトライナーを作るほうが手軽だったんだろうと思う。 エディタはエディタ、アウトライナーアウトライナー。 それぞれ別々のソフトウェアとして扱われ、それぞれに進化していった。

ただEmacsは違った。 Emacs自体がLispで作られたソフトウェアなので、Lispを書き加えればどんどん拡張していける。 メーラーにもカレンダーにもなる。 アプリを走らせるOSにEmacs自体がなっている。 そこでしょうね。

Lisp人工知能を作るための言語です。 1958年にジョン・マッカーシーが考えた。 思考の元素を七つに決めて、その七つを組み合わせればどんなアプリも生み出せる。 そうした哲学があり、実践の中で理論証明しているのがLispです。 「たった七つでいいのか」に対し「だってほら、動いてるじゃない?」と示している。

Advice taker

マッカーシーが考えたのは「Advice taker」という推論マシンでした。 質問すると助言してくれる人工知能ですね。 すでにカウンセラーを模倣する人工知能Elizaは作られていた。 『マイ・フェア・レディ』のイライザに由来。 でもこれには学習する能力がなかった。 入力された文章をもとに質問や要約を繰り返すだけだった。

学習するには、プログラムを自分で作る能力が必要です。 自己増殖するプログラム。 再帰関数が組み込まれている言語。 状況の変化に応じて自らも変化する柔軟性。 それが「学習」の本質であり、学習によって「常識」が形成されるのが「推論」である。

再びOrg-mode

Org-modeにもLisp思想が反映している気がします。 推論とはリスト処理(LISt Process)である。 リストを分割したり結合したり、並べ替えたり比較したり。 Org-modeはそれを「文」という単位で行っている。 文をリストとして扱っている。

七つの要素が何か実はわからなくて、どのサイトも五つとしています。 car, cdr, cons, atom, eq って感じですね。 atom と eq は「条件分岐」なので、思考には「条件分け」も不可欠。 「どういう場合は成立して、どうなると成立しないか」。 アウトライナーは階層化でこれに対処している。

Lispに詳しい人が見れば、Org-modeとの類似はもっとあるでしょう。 そしてLisp故の思考の制限もある。 マッカーシーが指摘するように「フレーム問題」が当時の人工知能論にはあった。 「何がわからないかがわかる」というのが人間の推論にはある。 というか、それが人間の思考の特徴ですね。 それがコンピュータにはわからない。

まとめ

調べ始めたところなので、わからないことだらけです。 当時の学会で「常識」とされた暗黙の前提があるのでしょう。

でも、うっすらわかる部分もある。 わかったふりもできる。

人間の「推論」のヘンなところです。

ロシア内戦

ワグネルがモスクワに反旗を翻した模様。 戦争が終わるとしたら、この方向なのかな。 ロシアに軍事政権ができるのも、あとあと怖いと思うけど。