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ガザとは何か

即時停戦とイスラエル軍の撤退を求めます。

ガザとは何か

京大名誉教授の岡真理先生による緊急講演会の記録です。

岡先生の専門はアラブ文学だけど、そこからパレスチナ問題に関心が移り、この半世紀の中東情勢を研究してこられた。 今回のガザ侵攻を受けて、去年の10月に京都大学早稲田大学で学生たちにガザで何が起こっているか訴えられた。 「即時停戦を」。 なのに、この2月になっても虐殺が続いています。 酷い状況になっている。

シオニズム

まず、なぜイスラエルができたのか。 てっきりユダヤ人のシオニズム運動から建国されたのだと思っていました。 シオニズム運動。 「ユダヤ人の故郷であるカナンの地に帰ろう」という運動。 カナンの地というのは今イスラエルのあるところです。 祖国をもう一度立ち上げよう。 そういう民族運動だと思っていました。 ジオン公国の元ネタ。

おかしいですよね。 日本人の源流がボルネオ島の奥地にあるとして「我々の祖先はカヌーに乗ってやってきた。高天原とはボルネオ島のことだ。みんな荷物をまとめてボルネオ島に帰ろう」と言われても、いやいや帰りません。 というか、住み慣れた土地があるのに、知らない島に「帰る」と言われても「帰る感じ」はしない。 ユダヤ人たちも同じでシオニズム運動は不発でした。 あまり支持者はいなかった。

なのでイスラエルの入植は強制移住なのです。 国連が決めた難民対策。 というのも第二次大戦後、ナチス=ドイツのホロコーストで集められたユダヤ人たちを連合軍は救出し解放することができた。 そこまでは良かったのです。 でも彼らが住んでいた村や街は取り壊され、もう別の人たちが住んでいました。 持っていたお店も会社も没収され、他の用途に使われています。 東ヨーロッパで25万人の難民が生まれた。 この人たちの住む場所をどうするか。 そこで連合国が目をつけたのがシオニズム運動です。 「あなたたちの故郷はカナンの地だから、カナンに帰るが良かろう」。 体のいいユダヤ民族の排斥です。 何もない砂漠に25万人を移住させた。

何もないとはいえ、そこにはアラブ人たちが住んでいました。 水場に集まり村を作り畑を耕していた。 そこに移民がやってくる。 イギリスやアメリカが軍事力で先住民を追い払う。 ユダヤ人の難民対策で、新しい難民が生まれた。 それがパレスチナ人です。

なぜアメリカは支援するのか

もともとアメリカのトールマン大統領は乗り気じゃなかったようです。 ただ、このカナンの地、シナイ半島は油田の宝庫でした。 そして第二次大戦以降は石油がエネルギーの主力になります。 イスラエルアラビア半島を制圧する前線基地になる。

アラビアの油田を狙うのはアメリカだけではありません。 ソビエト連邦にとっても重要な拠点になる。 この二大勢力の代理戦争の形で中東戦争が勃発します。 イランやイラクが巻き込まれる。 イスラエルにどんどん軍事支援が送られ、経済的に成長します。 そしてパレスチナの土地を占拠していく。 毎日のように虐殺が行われる。

その当時戦っていたのはハマスではなくパレスチナ解放戦線。 PLOアラファト議長でした。 そして1993年イスラエルパレスチナの間で和平協定が結ばれます。 オスロ合意と言います。 ソ連が崩壊したので、アメリカとしてはあまりイスラエルでがんばる意味がなくなった。 じゃあ、土地を半分こしてそれぞれが平和に暮らせばいいじゃないか。 そういう合意が結ばれ、中東戦争終結します。

イスラエル・ロビー

ところがそのあともイスラエルパレスチナを侵略し、占有地を広げていきます。 パレスチナ側は国連に直訴し、国連もイスラエルの行為を違法行為と認めます。 でも「イスラエルに制裁を」となるとアメリカが拒否権を発動します。 これが不思議。

一般に言われているのは「ユダヤ・ロビーが反対するから」ですが、そもそも「ユダヤ・ロビー」ってなんでしょう? ここが調べてみるとよくわからない。

まず「ユダヤ人=ユダヤ教徒」ではありません。 ナチス=ドイツ以前から言われていることです。 ユダヤ人としての身体的特徴はないし、共通する文化もない。 スペインに住んでいればカトリックに改宗するし、ドイツに住めばルター派になる。 地域ごとに話す言葉も違う。 遠い先祖はユダヤ教徒だったかもしれないけど、その子孫たちはヨーロッパに長く住んでいるから、そこに適応した暮らしをしている。

ところが「ユダヤ・ロビー」を調べると「ユダヤ教徒は人口の2%に過ぎない」という話が出てきます。 どうも宗教のことだと思っている。 そうじゃなく「イスラエル・ロビー」と書く方が正確です。

イスラエル絡みで利権のある人たちの圧力団体。 油田で儲けてますからね。 なので大統領選で発言力があります。 自民党に対する統一教会のようなもので、選挙活動に人を貸してくれるしお金も出してくれる。 共和党の支持基盤であるだけでなく、民主党オバマ大統領さえ「イスラエルへの支援はアメリカの勤め」と言わされてます。

どうやら

今回のガザ侵攻はこれみたいですね。 ガザ地区側の海中に天然ガスが発見された。 採掘権はパレスチナにあるのに、イスラエルは自分たちの油田にしたい。

というか、その後の経過を見るとアメリカの石油会社シェブロン社が採掘を始め、ハマスがそれに抵抗し、一度は採掘を中止したものの、このガザ侵攻のあとからまた採掘を開始しています。 これを民族問題や宗教の話にしちゃダメだよ。

金儲けのために人が殺されてるってことだよ。