Jazzと読書の日々

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基礎からわかる古代エジプト語講座

参考書を手に入れた。

ヒエログリフを書こう

ヒエログリフを書こう!
Philip Ardagh (著), 林啓恵 (翻訳), 吉村作治 (監修) 形式: Kindle
こんな入門書が欲しかった!――吉村教授絶賛!あなたにも、ヒエログリフが書ける!読める!基本アルファベットから練習問題まで、ヒエログリフの世界がわかる「超」入門書。ヒエログリフ観光スポットがわかる「エジプト・ヒエログリフマップ」付き。

古代エジプト語を基礎から勉強できます。備えあれば何とやら。いざ古代エジプトへ出向になっても安心。タイムマシンに乗って、ピラミッドの作り方を指導するのはあなたかも知れません。

VSO

古代エジプト語は動詞から始まります。述語+主語+目的語。句読点はありません。左から右に書いたり、右から左に書いたりします。大丈夫。動物たちの顔が左向きだったら左から読む。右向きなら右から。縦書きのときもあるけど、顔が決め手です。

𓂈𓅓 𓀀 𓅓𓊃𓎛𓆊 (聞く、私は、ワニを)

面白いのは代名詞ですね。「𓀀」が「私は」なのですが、正確に言うと所有格です。「私の」ということ。所有格で「聞く 𓂈𓅓」という動詞を修飾している。これを主語と呼ぶのは後知恵です。古代エジプト人にとって主体はまだない。動作を起点に状況を描写する言語構造だったと思われます。

形声文字

象形文字と思ったら表音文字でした。アルファベットと同じ。表音文字だけど、母音は書きません。ヘブライ語か、と思いますね。おかげで同じ綴りでも読みが違ったりします。なので、読みを書いた後に決定詞というものを付けます。人間のことだったら人間の絵を、鳥の話だったら鳥の絵を付けます。そこは象形文字なのです。

漢字で言うところの形声文字。ツクリが読み方を表し、ヘンが分類を示す。そういう構成になってます。「河」は水に関わることだからサンズイで、音は「可」と同じ。古代エジプト語はこの形声文字と同じ発想で作られています。

𓅓𓊃𓎛𓆊 (メセフ)

「メセフ」は「ワニ」という意味です。だから「𓆊」が決定詞として付加されます。すごいですね。読み方がわからなくても最後の決定詞だけで意味がわかる。他の部分は子音です。「𓅓」が「m」、「𓊃」が「s」、「𓎛」が「h」に当たります。「msh」で「ワニ系」だから、読むときは母音を補完して「meseh」と判明するわけです。

数学

古代エジプト天文学幾何学の発達した文化です。ナイル川の氾濫を予測し、土地の測量を行った。なので数学が発展しています。

𓂭 𓆼 𓍢 𓎆 𓏺 (11,111)〜 𓂵 𓇄 𓍪 𓎎 𓐂 (99,999)

まだまだ上を表す数字はあるけど、Unicodeでは99,999まで。古代エジプトでは十進法を採用していました。万の位を表しているのは「人の指」。千の位は「蓮の花」のようです。ちなみに英語の「digital」も「人の指」という意味です。

日常会話

オマケで日常会話集もついています。古代エジプト人とお近づきになったら、こちらから声をかけてみましょう。

𓉔𓇌𓀁(ヘイ) こんにちは!
𓇋𓅱𓎡𓏏𓈖𓌙𓅯 (イウエクチェン) どこにいるの?
𓋴𓈖𓃀𓏏 (セネブティ) お元気で!

実践講座

あと、途中から吉村先生が出てきて「では、実際に発掘された遺跡の文字を読んでみましょう」と応用編が始まります。古代エジプトの世界観がわからないと供養文や死者の書が読めないですからね。お手軽エジプト観光案内つき。

もちろん、かのロゼッタストーンも出てきます。シャンポリオンがどれほど凄いか実感できます。それまでは象形文字だと思われ、判じ絵のように扱われてきた。それを記号として解読する着想は、ある意味「構造主義」の先駆けじゃないでしょうか。

まとめ

神様の名前が多すぎ。次は古代エジプト神話を調べないと。