Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

ウクライナとマゾッホ

國分功一郎のオンライン哲学講座。

ウクライナマゾッホ

ドゥルーズの『マゾッホ紹介』についての話から始まり、マゾッホの生まれた街、ウクライナ西部のガリツィア地方が古くから周囲の大国に翻弄されてきた歴史を語る。

良いテーマですね。マゾッホマゾヒズムの語源とされながら、実際はそのような作家ではない。彼は国籍問題や強靭な精神性を主題に取り上げ、文学へと昇華していた。

ガリツィア

ドゥルーズの本は蓮實重彦が翻訳していて(確か昔、僕も蓮實重彦に凝った時期があり読んだかもしれないけど)もう誤訳だらけということで貶しながらも、訳注でガリツィアの地域性に触れていることを國分功一郎は評価している。
言語も人種も入り乱れていて、そうそう簡単な「民族国家」にはならない。どう共存する社会を形成していくか、という難問からマゾッホが生まれてくる。

マゾッホ紹介

いまは新訳が出ているようです。欧米の「主権主義」とは一線を画す周辺国的な思想性。そこに日本の学ぶべきことがあるんじゃないか。したたかで柔軟な闘争のあり方。対立しつつ対話を模索する、今のウクライナの姿勢に繋がっているのだろうと思う。
ウクライナから日本に避難してくる人たちもいるだろう。単に「戦争反対」と言って満足するのではなく、それぞれの国の事情を深く知る契機となりますように。