Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

アウトラインはライフが問いかけている

見出しは問いかける

カード型にして意識化されたのは見出しの存在です。

見出しがテキストに句読点を打つ。 どういう句読点かというと、 それは「疑問文」の形をしています。 つまり、問いかけてくる。

見出しが「それは何か」と投げかけてくるので 「それはですね」と本文で答える。 それが基本形になっています。 このユニットで「カード」が構成される。 カード自体が二者間の対話を模した単位になっています。 書くことには他者が介在している。

純化すれば「Q&A」ですね。 見出しがQで、内容がA。 それがセットになって一小節となる。 その小節が並ぶことでテキストは編み込まれていく。

そこにコード進行が生まれます。

マッピングを読む

なので、見出しだけ取り出せばコード進行が読み取れます。 どんな「問い」に突き動かされてテキストが展開しているか。 それは「アウトライン」として確認できる。

コードは疑問形で表せます。 小熊先生の『基礎からわかる論文の書き方』に倣うと

  • D...記述パラグラフ:what。Aとは何か。
  • C...比較パラグラフ:which。AとBの違いは何か。
  • E...効果パラグラフ:why。なぜAなのか。
  • M...方法パラグラフ:how。確かめる手順は何か。

この4つで構成されている。

前回考察したときは「what, why, how」の3つだけでしたが、 石黒先生の『段落論』での指摘も受けて 「which: 敢えて二項対立に落とすこと」の意味に気づきました。 意図的にクローズド・クエスチョンを採用することで、 論証の対象を明確にする。 そうした工夫なわけです。

よくあるのはメリット/デメリットを挙げる方法かな。 未知のAを説明するのに既知のBを比較対象にする。 身近なBを持ってくることで現実と接地する。 そのことで新奇なAについても具体的なイメージを持つことができます。 それが比較パラグラフの効能ですね。

パラグラフの接地

他のパラグラフに対しても同様のことが言えます。 読者のリアルに接地する。 「問いに答える」とはそういうことだからです。 聞き手に「なるほど、それはあれか」と納得がいく。 腹落ちしないと伝わらない。

なので、記述パラグラフであればメタファや見立てを組み込み 「読者も体験していること」と繋げようとするし、 方法パラグラフであれば料理のレシピのように手順を示し 「読者にも追体験してもらうこと」を目論みます。

効果パラグラフもそうかな。 「このライフハックはこうした場合に便利です」と書いたとしても、 読者はそこに価値を置かないかもしれない。 読者も困っているだろうところを想像し、 そこに接地しないと「効果」とはなりません。

その読者は「想像上の読者」です。 「たぶん、こう書いたら伝わるんじゃないかなあ」 とイメージしながら対話している。 とすれば、その「読者」は「自分」です。 自分に納得してもらおうとしている。

「それでいいのか」となれば「それでいいのだ」ですね。 書いているときはそれしかないのだし。 誰かに頼んで読んでもらう方法もあるでしょうけど、 それは「その人」であって「読者」ではない。 別の人が読めば別の反応があることです。

ライフ・ワーク・ダイアログ

日を改めると「自分」も「別の自分」になります。 書いているときは「すごいすごい、これは画期的だ」と思っても、 翌日覚めた目で読み返すと論がぐちゃぐちゃ。 言っていることも案外普通。 そうそう「画期的」にはなりません。

この「別の自分」とは誰だろう。 寝ている間に何が起こったのだ? と思うけど、UFOに連れ去られて改造手術を受けたわけではありません。 いつもの「自分」です。

この「自分」は「生活している自分」です。 ライフの自分。 それは「ワークの自分」と違ってリアルに接地している。 だから、推敲相手として信用できる「読者」です。

「ワークの自分」は「作品」を作り上げようとします。 何かアイデアに捕捉され、それに形を与えようとする。 イデアに憑依され振り回されるシャーマンです。

でもシャーマンだけが喋っていても世迷言になります。 その聞き手が必要となる。 それが「ライフの自分」が担う「読者」なのでしょう。 「読者」が「問い」を投げかけ「見出し」を生み出す。 この対話が「書くこと」に昇華します。

まとめ

カード・スタイルにしてわかったのは、 一つのカードの文字数が200字前後となることですね。 「問い」への答えは、それくらいが適正値のようです。 それ以上長いと話がズレていく (それもまた面白いけど)。

それから、記事として上げる前に 「仮見出し」を消しています。 もう少し大きな単位に括って「見出し」を付け直す。 これだとそれぞれ500字前後。

それでも少し細切れに見えるかな。