Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

Obsidianはローカルにある非公開ブログである

Fountain pen and a notebook|600 Backlink | Photo by Aaron Burden on Unsplash

そう定義するとわかりやすい。

Evernote

以前Evernoteのことを「非公開ブログ」に例えたことがあります。

もともとインターネットはパソコン通信掲示板(BBS)をメタファーにしていました。 NetNewsの形式がメインだった。 2ちゃんねるのようなスレッドを展開していく方式ですね。 あるテーマでスレを立て、そこにいろんな人たちが寄せ書きしていく。 管理人はいても、管理人が自分のテーマを展開する場ではなかった。

それがブログに移行し、管理人が記事を書き、そこに読者がコメントを残す形式に変わりました。 でもそれはそれで、匿名のコメントが溢れ返り、無法地帯と化していった。 そこで会員制のブログが現れて、半ばクローズドなエリアを作り出す。 mixiとかFacebookとか。 Evernoteは、そうしたクローズドなブログを「ノート」として流用することを思いついた。 そうした流れが十数年前にあったんじゃないかと思います。

Workflowy

Evernoteは便利でした。 ネット上にデータがあるからいつでも閲覧できる。 非公開だから、他人に気兼ねなく、書き掛けの文章を置いておける。 Dropboxもそうだろうと思います。 ネット上のストレージが自分のハードディスクになる。 ダイアルアップの時代には思いつかないような素敵環境です。

ただ、そうなると記事である必要がない。 アイデアを書き留めるだけでいい。 ノートのあり方が「記事」から「短文」に変わる。 短文化はブログを衰退させた。 TwitterなどのSNSが台頭してきます。 記事として整えなくてもテキストは流通する。

それに応えたのがWorkflowyだったのではないかと思います。 従来のアウトライナーはやはり「アウトライン」を作るものだった。 でもデータがネットに蓄積すると意味が変わります。 スレッドを展開する場になる。 それが新しかった。 ブログはカロリーが高く、続けるには根気が必要だった。 アウトライナーはその敷居を下げます。

Obsidian

アウトライナーはアイデアを孵化させる最適の場である。 では、そのアイデアを「記事」にまとめるとき、どうするか。

そう考えると、Dynalistがそれだったのかもしれません。 アウトライナーを保持しながらドキュメントを作る。 もう少し進めればRoamやLogseqのようになります。 実際Dynalistもそちらに行きかけた時期があったんじゃないか。 でも踏みとどまって「ブログとは何か」に戻ってきた。 それがObsidianとして結実します。

Obsidianはインターネットブラウザです。 ただし、開くのはローカルのファイル。 ローカルだけれど、インターネットと同じようにリンクで結びつけます。 タグをつけるのもブログのメタファー。 ネット上で培ったデジタルノートを、もう一度ローカルで展開してみる。 Obsidianにはそうした試みが随所に見られます。

デイリーノート

掲示板とブログ。 この二つの形式がインターネットの歴史において交互に興隆してきました。 ブログは「公開されたメール」が原型になっています。 読んでくれる人たちに向けて手紙を書く。 自然とそういう文体になります。 メールをWebサイトに投稿したらブログになった。 始まりはそんな感じじゃないかな。

掲示板は「独り言」です。 パソコン通信がそうでしたが、応答がなければスレは立ち消えます。 種を蒔いても、芽が出なければそれっきり。 アウトライナーはそのスレッドを一人二役で伸ばすようなものです。 伸びるトピックもあれば、すぐ枯れるトピックもある。 あとになって息を吹き返すこともある。

その「独り言」の受け皿を、Obsidianでは「デイリーノート」が担っています。 思いついたアイデアをデイリーノートに追記する。 その中で「記事」になりそうなものに手を入れる。 するとローカルに「ブログ」が構築される。

まとめ

この手順だとすると、デイリーノートからスレを作る段階があるのだろうなあ。 それがノートコンポーザーだろうけど、これ、使いにくい。 どうすればいいんだろう。