Jazzと読書の日々

iPadを筆記具として使う方法を模索します

ノートアプリの目的地はMemexなのだろうか

アルケーではあるけれど。

Memex

1945年。終戦の年にヴァネヴァー・ブッシュが構想した「外部記憶装置」。今のインターネットに使われる「ハイパーテキスト」を最初に記述したものと言われています。
でも、それだけじゃないですね。人間の思考は、決して百科事典のようには整理されていない。連想が連想を呼ぶ関連性のなかで動いている。その「航跡」を機械的追体験しようという意図が隠れています。図書館の検索システムでは「思考」は扱えない。もっと別のシステムが必要だろう、と。これを「第二の脳」と呼んでいる。
もっとも彼が考えたのは、マイクロフィルムの画像を投射する「机」です。レバーがいくつかあって、フィルムとフィルムを関連づけていく。自分で新しく写真を撮ることもできる。風景を撮ってもいいし、書いた手紙を映してもいい。そういうアナログな装置を構想しています。当時の最先端テクノロジーだったのでしょう。

Logseq

Logseq 0.6.6
分類: 仕事効率化
価格: 無料 (Logseq, Inc.)

最近、時間を見つけてはLogseqを触っています。クセが強いですね。個人的にはObsidianのように、従来のエディタの延長にあるほうが扱いやすい。慣れているからでしょうか。たぶん、発想の枠が固まってしまっていて、そこに落ち着こうとするのでしょう。
Logseqはそれを許さない。
LogseqはWorkflowyのようなアウトライナーと思っていたのですが、すぐに間違いだと気づきました。Workflowyには時間がありません。時間の代わりにテンポがあります。じっくり熟成させる。トピックを煮込んでゲル状にし、それを加工することで「一品」を拵える。「料理」のプロセスに似ています。
Logseqにはそれがない。「日誌」を起点とするため、生まれたアイデアの卵が次の日には「昨日」になっています。流れている時間との付き合いになる。クロノス的と言うか。モデルになっているのがスタートレックの「航海日誌」なのでしょう。

アクション・リサーチ

Logseqの先行者を探すとRoam Researchだろうと思います。ジャーナルとしてのアウトライナー。行動記録を優先する文化人類学的なフィールドワークを連想します。日々の暮らしの中にあるけれど、そこに暮らす人たちには見えないもの。それを構造として取り出すための装置。いわゆる「アクション・リサーチ」を志向している。
ポイントはタグの使い方かな、と思います。前回のLifeLogを使うとタイムスタンプが付きますね。時刻入りになる。その時刻の横にタグをつけていく。「#執筆」とか「#言語学」とか。Logseqではタグをタップすると、そのタグをタイトルにしたページを作ります。そして、自動でタグのあるページのリストが作られる。ここがノートとして肝になる。このタグ・ページを作ることがLogseqの目的じゃないかと思います。

まとめ

Memexが夢見た「第二の脳」。それをどう実現するかを現代のノートアプリは提案しています。 でも思うんですよね、「脳」でなくてもいいんじゃないかと。「第二の肝臓」みたいな、頭とは別の、身体が語る装置もあったら面白いんじゃないかなあ。
今のところScrapboxが肝臓っぽい。「泥酔指向」って、頭を使ってないところが特に。